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元町映画館☆特集

すべてのカッコいいの原点「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」

フランスでは名優アラン・ドロンと並ぶ国民的俳優ベルモンドの特集上映

『ムッシュとマドモアゼル』<br>,L’Animal a film by Claude Zidi(c)1977 STUDIOCANAL
『ムッシュとマドモアゼル』
,L’Animal a film by Claude Zidi(c)1977 STUDIOCANAL
「カッコいい俳優」と聞かれると、まず誰を思い浮かべますか。
日本人かもしれない、外国人かもしれない。もっと詳しい言い方をすれば「◯◯っていう映画の◯◯役」なんてこともあるかもしれません。

私なら前まではトム・クルーズやブルース・リーと答えるかも。だってどの作品を観てもカッコいいから。眠っていてもカッコいいって最強じゃん。

映画館で働いていて良かったかもしれません。私の「カッコいい」の1ページに新たな俳優が刻まれました。


フランスの俳優「ジャン=ポール・ベルモンド」。名前だけでも聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』などヌーヴェルヴァーグに愛された彼。本国フランスでは名優アラン・ドロンと並ぶ国民的俳優だったそうです。

私はこれを聞いた時、あの演技派、2枚目俳優がなぜ国民的俳優か。それは彼のアクション映画にあったのです。「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」と題した特集上映では劇場未公開作品を含めた8作品を一挙上映。この中でも個人的お気に入り作品をご紹介。

『ムッシュとマドモアゼル』
ベルモンドふんするマイクは今は売れないスタントマン。敏腕とは程遠いマネージャーと二人三脚。たまにスーパーの着ぐるみアクションなどで日銭稼ぎ。しかし彼には愛する彼女のジェーン(ラクエル・ウェルチ)がいた。同じスタント知り合いで今は疎遠な関係。しかし彼女も彼のことが気になっている。映画の仕事だけを引き受けるようにしていたマイクに国民的スターのスタントの仕事が舞い込んできた。それをチャンスと考えたマイクはジェーンも同じ現場で仕事ができるように画策するが…。

アクション映画!と聞いて、本作を観ると驚く。コメディ要素が盛り沢山。ボケは全力フルスロットル。動物や飛行機、階段落ちなど全く違う角度からベルモンドがボケまくる。思いっきり。危険なアクションを好むマイクという役柄、本当に危ないシーンが続く。それをこなすベルモンドが本当にカッコいい。

ヒロインのジェーンの女性としての強さも魅力的だ。映画の監督や王族からのアプローチを華麗にこなしつつ、自分の強さを体現する。マイクの強引なアプローチを何だかんだ受け入れる覚悟。ちょっと待て。これ恋愛映画か。いやアクション映画か?

そんな二人の関係を邪魔、いやキューピット的存在になるのが国際的スター、ブルーノ・フェラーリ。しかしこの役はなんとベルモンドが演じている。本作ではベルモンドが一人二役をこなす。このブルーノがキワモノ。スターでありながらスタントはこれっきしダメ。アクションもマイクへ投げっぱなし。演技は棒演技。取り巻きの苦労をお察しする。そんなダメな役をベルモンドがコミカルに演じる。パーティからホテルまでの下りは見事の一言だ。ベルモンドさん、やっぱりアクションから、二枚目も演じれるのね。

物語は息継ぎなし。取って戻って、取られて、飛んで、たまにキス。まさに縦横無尽でベルモンドが飛び回ります。8作品の中でも『ムッシュとマドモアゼル』で観ることができる姿。ハードボイルドな『恐怖に襲われた街』や『OH!』。これまたギャグアクションの『大頭脳』も見逃せません。

何が言いたいのかって、可能な限り全部観て!ってことです。

でもお時間ない方はまず『ムッシュとマドモアゼル』。映画館に足を運びづらい毎日ですが、本作を観て「やっぱり映画っていいもんだな」と思いました。ぜひスクリーンでお楽しみください。ベルモンド、カッコいい!!