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元町映画館☆特集

女子大生の真摯な姿が印象的『ラジオ・コバニ』公開

女子大生のディロバンがラジオ局を自ら立ち上げて情報発信する姿を3年間追ったドキュメンタリー

内戦により、瓦礫と化した、シリア北部の街で、女子大生のディロバンがラジオ局を自ら立ち上げて情報発信する姿を3年間追ったドキュメンタリー。

映画は冒頭、瓦礫と化したコバニの街を追っていく。粉塵が舞う中で、亡くなった遺体を運ぶ男性たち。ターバンを巻きながら、壁際に立ち、銃弾が飛び交う中で前に進んでいく兵士たち。カメラは徹底的に逃げない。その分、衝撃的な映像の数々にまず映像から目が離せない。

そんな中、ディロバンは友人たちと簡易のラジオ局を立ち上げて、コバニに住む住人らにインタビュー、発信する。電気もろくに通っていない場所でマイクに向かって声を出し続ける。その姿に胸を打たれる。住民や詩人、戦士にもマイクを向ける。ディロバンの質問に強制的な印象は感じず、相手の話を徹底的に聞く姿が印象的だった。綺麗になりつつある街の中で戦争行為に加担した兵士が「生活のためだった。家族のもとに帰りたい…」と語る姿は戦争の恐ろしさを描いていた。

ラジオ、そして女子大生のディロバンを窓口にシリアの「コバニ」という街を知るきっかけになる作品でもある。

ディロバンは女子大生だ。ラジオ番組「おはよう、コバニ」を通して大人になっていく姿を見事に魅せていると思う。そしてスマホで恋愛相手を探したりする。公園では友達のバイクにまたがり、すれ違う男性には「あいつ私たちのこと見ていたわ」とひそひそ話もする。そんな親近感がわく映像から「シリアの学生も日本の学生も考えていることは同じなんだ」と妙な安心感が生まれる。戦争が身近にあっても平穏を求めている人間はいるのだと。

ディロバンの生活を通して、ラジオの面白さ、シリアの現実とそこに生きる人々の姿を見た。大学生にはぜひ観て欲しい作品。
ラジオ・コバニ
(監督:ラベー・ドスキー/2016年/オランダ/69分/Radio Kobani)

上映スケジュール
7/7(土)~7/13(金)
14:20~
7/14(土)~7/20(金)
16:20~