地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、神戸の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

神戸の地域情報サイト「まいぷれ」

元町映画館☆特集

俳優・大杉漣 最後の主演作にて、初めてのプロデュース作品『教誨師』

教誨師とは、受刑者に対して道徳心の育成、心の救済につとめ、彼らが改心できるように導く人。

今年2018年の2月に亡くなった、俳優・大杉漣さん自身が企画を気に入り実現した『教誨師』。

教誨師とは、受刑者に対して道徳心の育成、心の救済につとめ、彼らが改心できるように導く人。

本作では大杉さんが教誨師の佐伯役を演じ、性別も性格も違う6人の死刑囚と対峙する。人は「なぜ、生きるのか」普遍的な問いかけを映画でみせる。淡々と死刑囚に向き合う教誨師の大杉漣さん。作中ではあまりにも膨大なセリフ量ゆえに「役者にケンカを売ってるのかと思った」と思ったそうです。製作者と役者が本気で取り組んだ本作。大杉さんの存在感は言わずもがな、対峙する6人の死刑囚もクセ者揃い。

特に自己中心的な若者、高宮とのやりとりは密室劇ならではの緊迫感がある。6人の死刑囚のなかでひときわ好戦的に佐伯に対してあげあしをとるような言動を繰り返す。しかし親子ほど歳の離れた二人にもそれぞれ人生があり、話す、会話することにより距離は近づいていく。「自己中心的」と簡単に片付けられない高宮の主張。「教誨師って仕事をやっていれば、犯罪は減るの?」「どうせ生きていくためにこの仕事やってるんでしょ」など、昨今SNSで頻繁に見られる言葉の応酬。密室、逃げ場がない時間の中で佐伯の表情も次第にひきつって行く。まるで舞台劇を見ているような緊張感のなか、言葉を絞りだす佐伯の姿に圧倒される。やはり大杉漣さんはすごい。

死に行くものだから漏れる言葉、死を見届ける側にいるからこそ生まれる視線。誰も体験したことはないのに、役になりきる演者の力がこの120分を、物語を支えている。それを引っ張る大杉漣さん。またこんな物語の“芯”になるような演技をどこかで観れることを信じています。そしてどんな仕事に対しても責任を持つ大切さを改めて感じました。

教誨師
(監督:佐向大/2018年/日本/114分)

上映スケジュール
10/20(土)~10/26(金) 12:30~
10/27(土)~11/2(金) 10:30~
11/3(土)~11/9(金) 14:10~