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元町映画館☆特集

函館の夏、まだ何ものではない僕たち3人はいつも一緒だった『きみの鳥はうたえる』

ラストシーン「あぁぁぁ~」と言ってしまう。声が出てしまうそんな作品です。

『そこのみにて光輝く』『オーバー・フェンス』など数々の作品が映画化されている佐藤泰志原作。監督には『THE COOKPIT』の三宅唱監督。舞台は北海道函館市。ある書店で働く一人の女性と二人の男性との関係を描く。

ラストシーン「あぁぁぁ~」と言ってしまいました。
声が出てしまうそんな作品です。

何気ない若者たちのやりとりの中で「気持ちが動く瞬間」が映像のなかでちらついています。そんなチラリズムを映画の中で魅せてくれる3人の主役、柄本佑、染谷将太、石橋静河。
絶望的な設定ではないのにも関わらず、自然の人間の中で勝者と敗者に分かれていく。距離感を保ちながら生活することの大変さと尊さ。三宅監督はその微妙な人間の癖みたいなものを恥ずかしいくらいに大胆にみせてくれる。

三人は仕事終わりなどに家に集まり、酒を飲んだり、ビリヤードやカラオケに行ったりと、特にすることがない暇な大学生のような遊び方で楽しむ。そこから生まれるものは特になく、たんたんと時間だけが過ぎていく。函館の都会のような、でも少しノスタルジックに感じさせる街並みが画になる。
街を歩くだけで、引き込まれる。

そして何といっても、物語の核をなす石橋静河さんという存在。性悪でもなくごく自然と男性の側に近づき心を許す。あんな女性が側にいたら確実に「惚れてまうやろ!!」と言ってしまうだろう。特に物語の中盤、カラオケシーンは絶品だ。函館中のネオンがカラオケルームにぎゅっと凝縮され、石橋さんという女性がいるだけで一気に華やかな舞台へと変貌する。スポットライトを浴びることで、周りの景色さえも変化させる女優さんを久しぶりに観ました。ザ・女優!

今後の日本映画のターニングポイントになるような『きみの鳥はうたえる』、お観逃しなく!
きみの鳥はうたえる
(監督:三宅唱/2018/日本/106分)

上映スケジュール
9/29(土)~10/5(金)
16:50~
10/6(土)~10/12(金)
18:30~