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元町映画館☆特集

リップヴァンウィンクルの花嫁

筆者の中では邦画上半期No.1の作品です

(c)RVWフィルムパートナーズ(ロックウェルアイズ 日本映画専門チャンネル 東映 ポニーキャニオン ひかりTV 木下グループ BSフジ パパドゥ音楽出版)
(c)RVWフィルムパートナーズ(ロックウェルアイズ 日本映画専門チャンネル 東映 ポニーキャニオン ひかりTV 木下グループ BSフジ パパドゥ音楽出版)
リップヴァンウィンクルの花嫁

まず、最初に岩井俊二監督の本作が当館で上映決定した旨をSNSで発信すると驚くほどの反響。「やったー」「元映最高!」「もう一回見に行く」などなど。それほど人を惹きつける作品なのかと。はじめそんな面白い作品なのかと疑問に思っていた私の心はひっくり返るのです。

あらすじ
主人公の皆川七海(黒木華)はSNSで知り合った鉄也と結婚することになった。彼女は派遣教員として働いていたがなかなか現場に馴染めない。その悩みもSNSで投稿し反応を楽しむどこにでもいそうな女性だ。結納を終えて結婚式の準備に移るが皆川には親族が少ないため「なんでも屋」の安室(綾野剛)の協力を経て代理出席を依頼しなんとか危機を切り抜ける。しかし新婚早々に鉄也の浮気が発覚した皆川は彼を追い詰めるが逆に姑に追い詰められ家を追い出されてしまう。そこへ現れた安室。月給100万の好条件のアルバイトを紹介された皆川はそこで働き始める。そこで知り合った里中真白(Cocco)と意気投合し順風満帆に過ごしていた。しかし里中は誰にも言えない秘密を抱えていた。

普通に生活しているだけなのになぜか幸せになれない皆川七海。学生たちにおちょくられながら、悩みはもっぱらSNSに投稿。見知らぬ誰かとの会話を楽しむ。彼女にとって唯一の生徒はネットを通して教えている通信教育の生徒だけ。目に見える現実ではうまくいかずネットで向き合う生徒だけが皆川の孤独を際立てる。

とことんまで不幸が重なる彼女、泣くことも抵抗することも許されずに追い出される姿、それを演じる黒木華の透明度。純度100%?いや、表現下手ですが、露骨に褒めたい、なんかすごい。そして「なんでも屋」の安室。見た目はかなり胡散臭いのに皆川の前に現れると何かやってくれる空気を出してくる。服装は黒中心なのに、スーツを着ると白が映えるのは綾野剛の魅力。自分の芯がない、皆川と芯がなさそうなのに頼りになる安室が合わさると自然と会話が成立するから不思議だ。その魅力どこで売っているんですか!
まさに「惚れてまうやろ~」。

映画を見ていると誰かに感情移入してしまうこともあるけど本作にはその要素がない。男性だからか、いやそうじゃない、観客を包み込んでくる、また感情論になってしまう。映画の後半では里中真白の登場で一気に皆川の人生ゆっくりと変化していく。何か神秘的な謎の女性。その謎めいた雰囲気がゆっくりと皆川の人生をキラキラさせていく。でも劇的に変化しないのがまたすごい。

映画を盛り上げるのは脇を固める出演者。一人一人で映画を撮れるのではないか。3時間のこの映画体験は忘れられないだろう。

映画に必死さが伝わると冷めてしまいますが、役者さんと監督を含めた作り手の必死さが伝わるそんな映画です。何が面白いかを必死に探しましたが、

注意!
「ランバラルさんの紹介だったら」というイケメンにはご注意ください!

『リップヴァンウィンクルの花嫁』
6/4~6/10
連日19:30~
火曜日はレディースデー¥1100