<事例>
Aさんは、株式会社X(東証1部上場)の株式1万株を長男Bに平成26年7月31日に贈与しました。
X社の株価は、以下のとおりでした。
7月31日・・・・・・・・・・・・・・・1500円
7月の最終価格の平均・・・1300円
6月の最終価格の平均・・・1000円
5月の最終価格の平均・・・1100円
そこで、Aさんは贈与税を節税するために以下のような負担付き贈与を思いつきました。
株式会社A社の株価を1000円×1万株=1000万円と評価し贈与したうえで、同額の1000万円のAさんの借入金を長男に支払いを引き受けさせました。
この1000万円の借入金はA社株式購入と関係ありません。
Aさんは、この方法によって1000万円のA社株式を贈与すると同時に1000万円の負債の支払いを引受させたので、贈与税は0円になると考えました。
この方法は、正しいですか?
<回答>
贈与税は課税されます。
X社の株価は1500円×1万株=1500万円
1500万円-1000万円=500万円
この500万円に対して贈与税が課税されます。
Aさんは、X社の株価評価について相続・贈与時の評価方法で算出しました。
そもそも、一般的な相続・贈与による財産の取得は偶発的かつ無償の取得であるため、株価の評価は上記の4つの株価から最も低い株価を選択することが認められています。
(財産評価基本通達169(1))
しかし、上記規定は負担付き贈与には適用されません。
負担付き贈与による財産の取得は、一般の売買取引に準じた対価を伴う経済取引行為と考えられているからです。
(財産評価基本通達169(2))
上場株式の負担付き贈与を実行する際には株価の算定にご注意ください。
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